共用や共有はこれからの時代のキーワード

共用型2世帯住宅は、完全分離型2世帯住宅同居型二世帯住宅のちょうど中間の形態です。

一応それぞれに居住空間は独立していますが、キッチン、リビング、玄関など住宅の一部が1つしかなく、2世帯で共用するタイプです。

一般的に二世帯住宅という言葉を聞いて多くの人がイメージするタイプであり、最も普及している形態です。

最近「シェアハウス」という用語をよく聞きます。

このところ増えてきたひとつの家に複数の人と一緒に暮らすことやそのための住宅を指す用語です。

一般住宅だけでなくアパートなどでもこうした様式が増えているようです。

この場合、住む人は家族ではなく他人同士が一緒に住むのです。

このように今は他人同士ですら一軒の家を共有して住む時代なのです。

なのに家族が一軒の家を共有できないはずがありません。

二世帯住宅の建設に当たっては、各々の世帯がなにかとプライバシーを言い張り、その結果どちらかと言うと分離型を望む人が多い昨今ですが、21世紀は何ごともシェアの時代です。

これは少ない資源を分け合うという精神もありますが、これまで個人の自我を主張してばかりいたため、核家族が進展して家族関係は疎遠になり、その結果家族関係が壊れてしまう傾向がありました。

そうしたことへの反省もあって、いまこうしたシェアによる共同生活の動きが広がっているのではないのでしょうか。

こうした動きに見るように、壊れつつある家族関係を再構築するには、共用型二世帯住宅づくりが大きな意味を持っており、いまその普及が強く奨励されているのです。

共有型二世帯住宅で強まる家族の絆

東日本大震災の後、なにかと「絆」という言葉が人々の口から出るようになってきました。

これは大地震による未曾有の被害に遭った人々が、お互いの助け合いの重要性を深く認識し、人との結びつきの大切さを強調するためにキーワードとしてこの言葉を使うようになったのではないでしょうか。

絆といえば、まず大切なのが家族の絆です。あらゆるグループの中で家族こそ人にとっては最も大切なものです。

したがって家族は決してバラバラにならずまとまらなければなりません。

そのためには住む場所を同じくするのが最も良いのではないでしょうか。

離れて暮らすとお互いのプライバシーは守れます。

でも失うものも多く、その最たるものが絆を失うことです。

二世帯住宅でも完全分離型ではこの絆はそれほど強まりません。

絆を高めるには何においても共有がいいのです。

玄関はもちろん居間も風呂場もすべて共有にするのです。

お互いが多少の不便は我慢して譲り合いながら生活するこうした共用型二世帯住宅に住むことこそが、絆を強めるには最大の効果があるのではないでしょうか。

またこのスタイルこそが今叫ばれているシェアの精神に合致するのです。

2世帯住宅に住む全員の人間関係が良好な場合には、共用型二世帯住宅がベストな選択です。建築費用も割安になりますし、家族の絆というおそらく人間にとって最も大事なものを育む事ができます。